食料品の値上げラッシュが止まらない中で、再注目されているのが鶏卵だ。これぞ残暑バテを解消し、元気になれる「最強フード」を徹底解説。
「飼料高騰や鳥インフルエンザの影響で価格が上がっているとはいえ、卵のMサイズ10個入りパックは300円程度で買えます。1個約30円と、他の食品と比べても驚きの安価だと言えます」(都内スーパー経営者)
今も「物価の優等生」の座は揺るがない卵。そのうえ、「栄養の優等生」でもあるのだ。
食物栄養学博士の料理研究家・青木敦子氏が解説する。
「人間の体は、アミノ酸が欠乏すると免疫力の低下や疲労の増加をはじめ、多くの健康障害を起こします。
アミノ酸の中でも、9種類ある“必須アミノ酸”は、体内で合成できないため、食事で摂取するしかありません。卵には、その必須アミノ酸がバランスよく含まれているんです」
卵に良質なタンパク質がたっぷり含まれているのは周知の事実だが、それだけではない。
「ビタミンやミネラルも豊富に含有することから、卵は“完全栄養食品”とも呼ばれます。含まれないのはビタミンCと食物繊維ぐらいです」(前同)
他にも卵には、こんなプラス効果が。
「卵に含まれる『トリプトファン(アミノ酸の一種)』は、2種類のホルモンに変化します。
1つは精神の安定を保ち、ストレスを緩和する働きのある『セロトニン』、もう1つは、睡眠や覚醒のリズムを調節する働きのある『メラトニン』です」(同)
つまり卵には、質の良い睡眠を実現する効果もあるというわけだ。
その効率的な摂取法は、
「メラトニンは食後、およそ14~15時間後に分泌量が増加するといわれているので、卵料理は午前中に食べるのをオススメします」(同)
朝ごはんに食べれば、その夜はぐっすり眠れるという寸法だ。
また、卵は酒好きにとっても心強い味方でもある。
「アルコールの分解や燃焼を助けるビタミンB群と、肝臓の解毒作用を助ける『メチオニン』と『グリシン』というアミノ酸も含まれています。特に、二日酔いの薬にも入っているメチオニンは格段に高く含有されているとされます」(同)
それだけではない。卵の黄身と白身には、それぞれ注目すべき栄養素がある。
まず、黄身に目を向けてみると、
「卵黄の約3割は脂質で、その、また約3割は『リン脂質』。これは、脳や神経細胞、細胞膜などの構造の一部をなす物質で、認知症や老化などを防止する研究が注目されています」(同)
さらに、そのリン脂質から派生する「アセチルコリン」により、アルツハイマー型認知症の予防効果が期待されているというのだ。