彼岸を過ぎても、35度超の猛暑日が続く日本列島。心身ともに疲弊しがちな日々の中で、頼みの綱は心身を元気にしてくれるスタミナの源、“肉”だろう。

 しかし、昨今の物価高の影響はスーパーの生鮮食品コーナーに並ぶ肉類にも及んでいるという。

「家畜のエサとなる飼料や人件費、輸送費の高騰により肉価格は急騰しています。加えて、この夏の猛暑で家畜も“夏バテ”で生育が悪い状態です。

 日本食肉市場卸売協会によると、東京市場での7月の国産豚肉の卸値は1キロあたり921円と1977年以来、半世紀ぶりの高値圏に突入しています」(食品専門紙記者)

 食卓を苦しめる物価高の中、庶民の救いとなっているのが、スーパーで売られている外国産の冷凍肉だ。

「国産牛の切り落としが500グラムで1500円ほどなのに対し、冷凍肉は500グラムで700円代と断然お得。

 豚小間切れでは、国産が500グラム800円代なのに対して冷凍肉は500グラムで600円ほどと、かなり割安です」(前同)

 昭和30年創業で、三重県にある田中精肉店三代目にしてお肉博士でもある田中えり子氏は、安価な輸入肉の特徴をこう解説する。

「サシの多い日本の和牛に対して、海外は赤身部分が中心となる“アンガス牛”という品種が大多数。

 また、輸送過程において冷凍と解凍を繰り返した肉からはドリップと呼ばれる赤い汁が出ており、味が抜けて臭みが増していることもあります。でも普段の調理に一工夫を加えるだけで、驚くほどおいしくなります」

 激安肉を一瞬でウマい肉に変える調理のコツとは、どのようなものなのか。

「肉を解凍する場合は、冷凍状態から冷蔵庫に移し、一晩かけて溶かすこと。調理の15分前から常温に戻すと肉からドリップが出るのを抑えられます」(前同)