横綱、親方として、相撲を通じて日本文化や神事に長らく関わってきた貴乃花。自身が体験したことや、本を読んで学んだこと、そして、心に残った“ニッポンの魅力”を、歴史の話も交えながら伝えていく。

 中東紛争やロシアとウクライナの衝突、そして日本社会の分断と、ここ最近、民族や思想の違いなどから生じる悲しいニュースが目につきます。

「和を以て貴しとなす」

 1400年前に聖徳太子が定めた十七条憲法の冒頭に記された言葉です。

 人と人との和を大切にしましょうと、政治の道徳を説いたものですが、令和の今こそ、この精神が必要なのではないでしょうか。

 聖徳太子といえば、旧一万円札の肖像でおなじみですが、初めて紙幣に登場したのは1930年発行の乙百円券札です。それから現在に至るまで7回も採用されており、日本の紙幣に最も多く採用された人物として、そして、日本の古代史を代表する偉人として、長く親しまれてきました。

 ところが、近年は教科書から、その名が消えつつあるそうです。謎が多い人物で、実在したかどうかも定かではないとまで言われています。

 それはいったい、なぜか? 深掘りしてみましょう。