■超長身だった聖徳太子 ペルシャ人の可能性も

 ちなみに私が個人的に興味を持っているのが、聖徳太子とゾロアスター教の関係です。

 聖徳太子は、飛鳥時代の人々に比べて飛び抜けて長身だったとされ、従兄弟である蜂子皇子の肖像画も、目が大きく鼻が高いといった、いわゆる外国人風の容貌で描かれています。このことから、太子は、外国人だったのではないかとも言われています。

 では、どの国の人だったかと考えたとき、ペルシャ人の可能性があるそうです。

 根拠の一つは、聖徳太子の時代に創建された広島県の厳島神社にあります。厳島神社は、ゾロアスター教の海の神を起源とする“弁財天”を祀っており、さらに、そこに伝わる舞楽「抜頭」は、「父を猛獣に殺されたペルシャ人の青年が復讐を果たす」という西方由来の物語がベースになっています。

 そして、この抜頭の舞手を務めていたのが、聖徳太子の参謀だった秦河勝の子孫。つまり、太子と深い関わりがあったんです。

 秦河勝をはじめとする、“秦氏”の一族は、京都などを本拠地とした豪族で、海外から渡来した外国人だったと言われています。

 次回は、この秦氏に焦点を当てて、さらに日本の歴史を紐解きたいと思います。

貴乃花光司(たかのはな・こうじ)
1972年8月12日、東京都生まれ。88年、藤島部屋に入門。92年の初場所で、史上最年少の19歳5か月で幕内初優勝。兄・若乃花と「若貴フィーバー」を巻き起こす。94年11月に第65代横綱に昇進。幕内優勝22回。生涯戦歴は794勝で、「平成の大横綱」と呼ばれた。2018年に日本相撲協会を退職し、現在はテレビ、講演会等、幅広く活躍中。インスタグラム(takanohana__official