■サトテル本当の闘いは今オフ
A その意味では、佐藤輝明(26)も同じ。阪神球団には何のメリットもない以上、ポスティングの容認はあるとしても、海外FA権取得の前年、2028年オフってところじゃないかな。
C ですね。仮に彼のポスティングを認めれば、森下翔太(25)やエース格の才木浩人(26)らも間違いなく後に続く。球団としても、そこは容易に認めるわけにはいかないでしょう。
B ただ、佐藤輝はキャリアハイの今年に自分を売り込むのがベストと見て「今オフには行きたい」と周囲に言っているそう。オフは揉めると思いますよ(笑)。
――ちなみにその阪神ですが、「球団史上最強」ともいわれる今季の強さは、どこに要因がありますか?
A 確かに、日本一に輝いた1985年と比べると、圧倒的に投手陣がいい。03年、05年のリーグ優勝時は、金本知憲や下柳剛といった外様選手の存在感も強かった。それに比べ、23年に優勝を果たした生え抜き選手たちが成長した今季は、球団史上最強と言っても差し支えないと思いますね。
C 特に投手陣でしょう。チーム防御率2.05は驚異的です。主力にケガ人が出なかったのも大きい。
B あとは、やっぱり佐藤輝の活躍だろう。今季の彼は、配球をある程度絞り込んだうえで、いわゆる“前さばき”ができている。
A それって、岡田彰布前監督にかねてから指摘されてきたことだよね。
C まさに。中野拓夢(29)の二塁コンバートや、村上頌樹(27)や才木浩人(26)を育てたことを含め、強さの要因は“岡田の遺産”だと思います。何より、ご本人が解説席で饒舌ですよ(笑)。
A 体調不良で勇退しましたが、側近のコーチには「本当は続けたい」と言ってましたからね。“禅譲”するにしても、早大閥で同じ内野手出身の鳥谷敬に譲りたかったでしょうね……。
――話変わって、海の向こうでは、“オールドルーキー”菅野智之(35)が日本人投手最速で2ケタ到達と、大活躍を見せています。
A 昨季の時点で真っすぐの威力は戻っていたから、ある程度は活躍すると踏んでいたけど、まさかこんなにも勝つとは。ボールとの相性も良かったんだろうね。
C 多彩な変化球と抜群の制球力。日本人の強みである緻密な投球術が通用することを改めて証明してみせた。「メジャーでやりたい」って選手は、これでますます増えるでしょうね。
B まぁ、菅野に関しては日本での実績も頭一つ抜けている。特に巨人の最終年では、代名詞とも言える横に滑るスライダーではなく、落ちるスライダーを多投していた。今考えると、メジャーを見据えての“試投”だったのかなと。

―― 一方、若手の佐々木朗希は壁にブチ当たっています。
A まぁ、逆に彼のつまずきには、さほどの驚きもない(笑)。正直、どこかをかばいながら投げているフシは、ロッテで投げていた昨季からありましたから。
B 僕も聞いたことがあります。ロッテ時代から、痛み止めを常用していたと。
C それでよく向こうのメディカルチェックをパスできたな、という気もしますね……。まぁでも、まだ23歳ですから、そう急ぐ必要もない。高出力に耐えうるだけの身体ができてくれば、活躍も十分できますよ。
B そうだね。故障者続出で今季も、しんどいやり繰りを強いられているロバーツ監督からしたら、「早く使いものになってくれ」となるのも無理からぬところ。
A 海外の特派員記者から聞いたけど、ドジャース側は「まだデータの少ないロウキは、ポストシーズンにこそ使いたい」と言っていたそう。そのためにも、まずは監督がメジャー復帰の条件として挙げる「90マイル台後半(160キロ弱)」をクリアすることだね。
B 『MLB Network』の記者が「メジャーのレベルに達していない。単なる調整ではなく追加的な経験が必要だ」と言っていた。「正直なところ、かなり厳しい道のりになると思う」とも。
C 実際のところ、佐々木の代理人がドジャース入団前に「ロウキにメジャー枠を確約したチームはない」と話していたけど、体の状態を含めて、彼への評価はその程度だったんだよね。