■“永久に不滅の巨人軍”が終焉

 では、そんな巨人の復権にはいったい何が必要か。

 V9時代から、一貫して“盟主”だった過去を知る歴戦のレジェンドたちからは、「もはや我々が戦ってきた巨人ではない」との嘆息も聞こえてくる。

「日テレ系番組への出演をはじめ、読売グループが総力を挙げて“終身雇用”をしてくれた2000年代までとは、もはや事情が違う。“元巨人”の肩書きに昔ほど旨味がなく、提示金額でもソフトバンクがその上をいくわけですから、補強がままならないのも時代の流れ。むしろ、昔が異常だったと思うべきでしょう」(スポーツ紙デスク)

 実際、一昔前は毎年のように4番を強奪していたFA動向を見ても、他球団から巨人への移籍は今季の甲斐拓也(32)が実に5年ぶりという有様だ。

 DeNAから梶谷隆幸&井納翔一を獲得した20年以降、巨人どころか今季の甲斐、茂木栄五郎(31=楽天→ヤクルト)を除いて、FAによる移籍先はすべて、大リーグもしくはパ・リーグというのが実情でもある。

「絶大な影響力を誇ったナベツネさん(渡邉恒雄)に続き、ミスターこと長嶋茂雄終身名誉監督も亡くなり、巨人軍が“永久に不滅”だった時代は、ある種の終焉を迎えたと言っていい。

 昔と違い、今は松井秀喜に憧れた選手でも、巨人を通り越して、ヤンキースに憧れる。球界を盛り上げる意味でも、巨人には是が非でも強さを取り戻してもらいたいですが……」(前同)

 そんな巨人が、来たるCSに備えて、すぐにでも手を打てる改善策があるとすれば、何を置いても守備に対する意識の強化だ。

 失策数は、9月14日現在でリーグ最多の「74」。

 巨人より20少ない最少の阪神も、岡田前監督が就任と同時に守備力向上に努めたからこそ、今がある。

「終盤のここへきて、1番の丸佳浩(36)を皮切りに打順を固定できるようになってきた。下位に飛び道具のリチャード(26)、今は故障中ですが、8番に吉川尚輝(30)を置けるようになったのは、かなりの朗報。

 山﨑伊織(26)を温存したうえで、ファイナルの初戦を取ってタイに持ち込めたら、巨人にだって十分勝機はありますよ」(角氏)

山﨑伊織
ポストシーズンのキーマンは山﨑伊織!! ※画像/読売巨人軍(ジャイアンツ)公式X 『@TokyoGiants』より

 仮にCSファイナルでの“伝統の一戦”が実現すれば、日米通算200勝達成見込みの田中将大(36)が甲子園で有終の美――なんて結末にも期待が高まる。

「2勝3敗の崖っぷちからマー君がマウンドに上がって、最終戦で再びの山﨑が真のエースへと名乗りを挙げる。そんな展開なら、OBとしても嬉しいよね。

 マー君に東京ドームは似合わない。逆境をモノともしない強心臓こそが彼の真骨頂だと思うしね」(前同)

 対する藤川阪神も、事実上の消化試合にもフルメンバーで臨むなど、CS対策には余念がない。

 ゲーム差を感じさせない真の“ライバル対決”に向け、まずは巨人の2位勝ち抜けに期待したい。

●明暗クッキリ!! 阪神×巨人【チーム成績早見表】

 成績   阪神            巨人       
打撃 打率  .243
本塁打 83
打点  423
盗塁  95
犠打  128
打率  .248
本塁打 89
打点  409
盗塁  49
犠打  82
投手 防御率 2.17
勝利  80
セーブ 42
奪三振 935
勝率  .620
防御率 2.88
勝利  64 
セーブ 42
奪三振 1013
勝率  .496

※打撃データは9月15日現在