今田美桜(28)が主人公を演じるNHK連続テレビ小説あんぱん』が、9月26日に最終回を迎えるまであと5話。同作では多くのシーンが“泣ける”と注目され、最終週直前の9月19日放送回の内容も話題となった。

【以下、『あんぱん』ネタバレを含みます】

『あんぱん』は国民的キャラクター「アンパンマン」の産みの親である漫画家・やなせたかしさんと小松暢(こまつ・のぶ)さん夫妻がモチーフ。今田が暢さんをモデルにしたヒロイン・朝田のぶを、北村匠海(27)がやなせさんをモデルにした柳井嵩を演じている。

 9月19日放送回では、嵩が昔馴染みのパン職人・屋村草吉(阿部サダヲ/55)と30年ぶりに再会。草吉が絵本の丸い顔のアンパンマンの顔を「誰かに似てねぇか?」と聞くと、嵩は弟・千尋(中沢元紀/25)の小さい頃(平山正剛/6)の顔を思い出して描いたことを明かし、子どもの頃の千尋が「(あんぱんが)おいしいね」と話していた回想が流れ、草吉が「あぁ~、そうか……」と、どこか切ない笑顔を浮かべる――という場面が描かれた。

 太平洋戦争で亡くなった千尋の“再登場”に、視聴者は涙。

《これは涙出そうになったね。やっぱアンパンマンは千尋か》
《あの小さくて可愛い千尋くんの姿…忘れられないよね。何十年経とうがみんなの心の中には千尋くんがいます》
《そういえば千尋は幼い時 まんまる顔でしたねヤムさんの焼くあんぱんそっくりです! お国の為ではなく好きな人の為に生きて行きたかった、、千尋の言葉を思い出して胸が苦しくなりました》

 といった声が、多く寄せられている。

「千尋は文武両道の好青年でしたが、戦争によって帰らぬ人に。誠実な人柄、視聴者からの声にもある“お国の為ではなく~”という名シーンもあり、とても人気のある登場人物。兄・嵩との別れの場面、その時の彼の魂の訴えには、多くの視聴者が涙しましたよね」(テレビ誌編集者)

 生前、千尋はのぶに片思いしていたが、兄の嵩が相手ならと、のぶに本心を明かすことはなかった。

 だが、戦争が始まり、千尋は周囲の同調圧力もあって海軍予備学生に志願。6月12日放送回で、佐世保から出航する前に嵩にのぶを愛する気持ちを打ち明け、

「愛する国のために死ぬより、愛する人のために生きたい」

 と涙ながらに語るも、南方の海域で戦死。戦後、嵩は「海軍中尉 柳井千尋 霊位」と書かれた木片のみが収められた骨壺と対面することに、という戦争の悲劇が描かれた。

「千尋の話に限らず、『あんぱん』は“大切な人との別れ”や、それが残された人の価値観に影響を与えてるまでが丁寧に描かれて、それらが忘れられない名場面だと話題になることが多かった。9月の放送回では、嵩とのぶの元上司・東海林明(津田健次郎/54)との最後のやり取りも、視聴者を泣かせました」(前同)