日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が、本サイトで現代の時流を徹底解説。いま戸田氏が注目するのは、日本発アニメの世界的飛躍だ。

「もう日本には追いつけない」――2025年7月、アメリカ・ロサンゼルスで開催された世界最大級のアニメイベント「アニメエキスポ2025」において、Netflixが日本アニメの国際的地位を決定づける発表をしたことが世界中のアニメファンの間で反響を呼んでいます。

 Netflixによれば、同社の登録ユーザーのうち50%以上、つまり1億5000万世帯、推定3億人がアニメを視聴しているといいます。世界人口のおよそ4%にあたる規模であり、2024年には総視聴回数が10億を突破。同社の「グローバルトップ10(非英語部門)」にランクインしたアニメ作品は33タイトルに達しました。2021年の2倍以上という短期間での飛躍であり、もはやブームを超えた国際的な社会現象です。

 対応言語は最大33に拡大。アニメは日本発でありながら、各国の生活に自然に溶け込み、翻訳ではなく自国語として楽しまれる存在となっているようです。

 日本アニメが突出した存在であり続ける理由のひとつとして、巨大な漫画市場が“無尽蔵の物語源泉”となっていることが挙げられます。少年誌、少女誌、青年誌とターゲットが細分化され、毎週新しい才能が登場し、その中から膨大な作品がアニメ化されてきました。

 友情や努力を描く少年漫画、重厚なダークファンタジー、恋愛や日常ドラマ、異世界ものやスポーツ作品と、誰もが共感できる物語を供給できるのは日本ならではの強みです。