■完走率を重視する一方で課題も

 そして今、新たに浮上しているのが「視聴完走率」という指標です。プラットフォームにとって途中で離脱されない作品こそが価値を持つため、1クール12話前後だった従来の構成はさらに短縮。全6話や全8話といったパッケージが増加しています。

「短尺化は物語をスピーディに楽しめる一方で、キャラクターに深く感情移入する時間が不足しやすくなるデメリットも。この流れはキャラクターへの愛着形成を遅らせ、グッズや関連商品の販売力が伸び悩むジレンマも生むことにもつながります。完走率を重視するのは配信時代の必然的進化と言えますが、その裏側にはビジネス的な難題も横たわっています」(サブカルライターの蒼影コウ氏)

 今やアニメはエンターテインメントの新たな主流であり、国境を越えた共通言語。その中心で日本のアニメが世界をリードし続けていきそうです。

戸田蒼(とだ・あおい)
トレンド現象ウォッチャー。大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。