■日本のキャラクター中心主義も強みに

 また、キャラクター中心主義と日本文化固有の美意識も大きな要因でしょう。日本のアニメは完璧なヒーローではなく、弱点や欠点を抱えた人物を主人公に据え、成長の過程に視聴者が感情移入しやすい作りとなっています。目や表情の繊細な描写、コミカルなデフォルメ、背景美術との融合によって言語を超えて感情を伝える技術も磨かれ、説明的な欧米作品と異なる余白や静寂の美学が、海外の視聴者には新鮮で魅力的に映るのでしょう。

 海外のアニメファンからも、「日本アニメはもう世界の共通言語だ」「カフェで普通に鬼滅の話をしている」「10年前ならオタク扱いだったのに」といった声が聞かれ、今回のNetflixの発表は、単なる視聴データの公開ではなく、日本アニメが世界文化の中心に座したことを示す象徴的な瞬間だったとも言えます。