■日韓の文化の違い、作り方の違い、俳優の違い――

 映画やドラマの“前後のつながり”――日本では、シーンの前後でキャストの髪型や服装、小道具の配置などが変化しないよう、細心の注意が払われる。これを間違えると“アングルが変わった瞬間に登場人物の髪型が変わる”“右手で胸ぐらを掴まれてるはずなのに、同じ手で殴られる”といった現象が起きてしまう。

「どうやら韓国では、そこまで“つながり”を重要視しないそうなんです。逆に韓国ドラマでは、全体のつながりよりも場面ごとの“画力の強さ”を重視する傾向にあるといいますね。細かいつながりよりも、良い画、インパクトのある画を撮りたいと。

 そして、そうした撮影における細部のこだわりの相違から、現場で日韓のスタッフが意地の張り合いのような感じになってしまうこともあると。これでは、互いの持ち味を生かした作品を撮れないですよね」(前出の民放キー局関係者)

 そして、リメイク作品の場合は、脚本のローカライズ(現地に合わせた最適化)問題もある。まず、日本の地上波ドラマは10話前後で、尺はCMを除くと1話につき45分ほど。韓国ドラマは話数も尺も、それより長い場合が多い。

 当然ながら文化も違う。たとえば『SKYキャッスル』は、韓国で問題視されている過度な高学歴至上主義、そこにある「受験戦争」を風刺した作品だが、日本のリメイク版『スカイキャッスル』では、それが表現できていないという指摘もあった。

「そして、韓国ドラマは脚本至上主義とも言われ、脚本を1人で書くのではなく、チームを組んで共同で脚本を仕上げる共同脚本も一般的ですよね。その脚本作りにとにかく時間とお金をかけると。制作会社で脚本をほぼ完成させてから、放送局に売り込みにいくケースも。

 ですので、日本と比べて韓国の脚本のクオリティが高いとも言われますよね。そういった作り込まれた脚本を、日本の文化に寄せて改変し、さらに日本のドラマの短い話数にする必要があるわけで……クオリティをキープするのは難しんですよね」(前同)

 さらに、出演俳優を巡っても――、

「日本で放送される日韓共同制作ドラマやリメイク作品に出演する韓国人俳優が、“マイルール”を貫く話もよく聞きます。日本には“郷に入っては郷に従え”という言葉がありますが、一般論として、韓国では自分の権利をストレートに主張する傾向にありますからね。

“絶対に香盤表通り進めてください。イレギュラーな進行には対応しません”という人がいたり、プロモーションでも事前に決まっていることしか絶対にしなかったり……契約通りといえばそれまでですが、日本の作り方で慣れた日本のスタッフは大変ですよね」(同)

 そして、出演俳優を巡っては視聴者からの“見え方”の問題もあるようだ。

「日本だと、木村拓哉さん(52)が”何をやってもキムタク”と言われましたが、同じ売れっ子俳優が何クールも連続でドラマに出たり。そうした俳優は多くのCM、複数のバラエティ番組にも出ると。そうなると、どうしてもその俳優の人となり、素のイメージが前面に出てきてドラマを見ても“知っている俳優が役を演じている”となってしまう。

 それに比べると韓国ドラマは、日本人からすれば演じている俳優のことを強く意識はせず、まっさらな目線でドラマの“登場人物”を見ることができる。そのため、より作品に集中して楽しめるというところはありそうです」(同)