シーズンも残りわずか。その裏側で始まった、新指揮官の座を巡る争い。夢のポストをモノにするのは誰だ!?

 シーズンも最終盤に差しかかったプロ野球。現在、水面下で慌ただしい動きを見せているのが、来期を見据えた各球団の新首脳陣構想だ。在京スポーツ紙デスクが言う。

「12球団のトップが集まる9月17日のオーナー会議。取材する側としては、ここで飛び出す球団関係者の発言で、その裏にある真意を推し量る。長年、取材をしていると、言葉の端々から“これは監督交代だな”という空気感が掴めるようになるんです」

 さて、そんなオーナー会議の場で「阿部監督で立て直してもらう」と、真っ先に阿部慎之助監督(46)の来期の監督続投を明言したのは、宿敵・阪神を前に今季のリーグ優勝を逃した巨人・山口寿一オーナーだ。

「球団内部では、イースタンで独走Vの桑田真澄2軍監督(57)を“ポスト阿部”に推す声も。確執のあったナベツネさんの死去で“すでに障壁はなくなった”と見る向きもあるようです。ただ、任期途中での監督交代は、巨人の伝統から見ても、まずありえない」(前同)

 今期の巨人は昨シーズン12もの貯金を作った菅野智之(35/オリオールズ)が抜け、頼みの綱だった戸郷翔征(25)は2度の2軍落ちと絶不調。あげく、主砲の岡本和真(29)まで長期離脱となれば、“飛車角落ち”も同じこと。

 巨人でコーチ経験もある伊原春樹氏も「ある程度、しかたがない」と同情的だ。

「取っ替え引っ替えの“日替わり打線”がよく槍玉に挙がるが、データ偏重は巨人だけでなく、球界全体のはやりみたいなもの。

 打線は固定したほうが強いというのは今季の阪神が証明済みなのだから、阿部も腰を据えてやればいいのに、とは思うけどね」

 とはいえ“ポスト阿部”を探そうにも、天下の読売グループも人材不足。今年6月に亡くなったミスターこと、長嶋茂雄終身名誉監督の悲願でもある築地新球場での“松井秀喜政権”誕生までは橋渡し役が必要で……。

「桑田2軍監督以外に、山口オーナーのお気に入りでもある川相昌弘コーチ(61)の線もなくはないが、派手さに欠ける。

 過去に指揮官を務めた高橋由伸元監督(50)の再登板も考えられるが、3年連続V逸という成績では“建て直し”は託せない。反発があろうとも、阿部続投が現状の最善策ではあるわけです」(球団関係者)

 一方、同じセ・リーグでは最下位ヤクルトの髙津臣吾監督(56)が今期で退任。

 後任候補には、OBの宮本慎也氏ら複数の名も挙がったが、最終的には、池山隆寛2軍監督(59)の内部昇格で落ち着きそうだ。

「小川淳司GMが今季限りで勇退し、後任には補佐だった青木宣親氏が就く見込み。これで宮本監督の線はなくなった。なにしろ、宮本と青木は“犬猿の仲”でしたから。球団が“将来的に青木を監督に”と考えているなら、宮本の入閣は今後もない」(スポーツ紙記者)

 大本命である青木の監督就任までは、池山監督でしのぐ。池山にしてみれば、監督就任は棚ボタ人事だったというわけだ。

 ただ、青木氏のGM就任に際してはこんな意見も。

 青木氏と同様、大リーグでのプレー経験がある藪恵壹氏は言う。

「チームの指揮を執る監督と編成を考えるGMでは、役割が異なる。彼が“現場には戻りません”と決意してGMをやるならいいが、“将来は監督を”なんて報道を見ると“メジャーで何を見てきたんだ”という気持ちにもなってしまう」