■ふるさと納税すら批判! 地方を干上がらせた末路
一方、地方政治は「タクマキ」の逆襲が始まり、大変なことになっています。学歴詐称疑惑で騒がせている静岡県伊東市の田久保真紀市長。私はタクマキと呼んでいるんですが、ああいう人が出て来られる社会にしたのが、今の日本なんです。“おかしい”を通り越した人たちが、表に我が物顔で出て来る。今の状態では、普通の人が政治家になろうと思えないですよ。
不信任決議案が可決されると、議会解散を宣言して、また出馬(10月19日に伊東市議会選挙が投開票)なんて、もう人として怖い。
そもそも現在の日本は、過度な中央集権です。人口増、税収増に伴い、努力不要でも行政が成り立つ東京都は、行政努力を忘れてしまいました。
東京都内の行政区は、都市と地方との税収格差を是正する「ふるさと納税」すら批判して制度改革を訴え、総務省人事は地方行政を干上がらせてきました。それが、現在の地方政治の混乱につながっているのではないでしょうか。
さらに、模範的な三権分立を支えてきた裁判制度も混迷を極めています。
今こそ農民一揆のときです。我々、日本国民は今、改めて、「日本道とは何か」を考えるべき、試練のときを迎えています。日本人が受け継いだ精神性、文化、誇りとは何なのか――。
政治の混乱を機に、一人一人が日本道を考えるようになるとすれば、昨今の状況も幸せ、乾杯と言えます。
貴乃花光司(たかのはな・こうじ)
1972年8月12日、東京都生まれ。88年、藤島部屋に入門。92年の初場所で、史上最年少の19歳5か月で幕内初優勝。兄・若乃花と「若貴フィーバー」を巻き起こす。94年11月に第65代横綱に昇進。幕内優勝22回。生涯戦歴は794勝で、「平成の大横綱」と呼ばれた。2018年に日本相撲協会を退職し、現在はテレビ、講演会等、幅広く活躍中。