■向井康二が新境地を見せられるか

 偽ママが名門私立小学校の理不尽な世界に巻き込まれていく筋立ては、そこまで目新しいところはないが、波瑠と川栄の安定感でしっかりと魅せた。また、子役の池村の演技も好評。NHK朝ドラ『ばけばけ』でヒロイン・トキの子供時代を演じた福地美晴(10)と同じく、ミュージカル『SPY×FAMILY』でアーニャを演じているので期待できる。

 さらに、学校の関係者で、実は薫の初恋相手という教師に、NHK大河ドラマ『べらぼう』などで、幅広い役柄を演じている中村蒼(34)。クセの強そうなママ友に、野呂佳代(41)、田中みな実(38)、橋本マナミ(41)。また“謎の男”に、海外でも活躍している実力派の笠松将(32)など、脇を固めるキャストも盤石だ。

 わかりやすいストーリーだけに、キャストの力量が大きく左右しそうな本作。そうなると気になるのが、茉海恵(川栄)と一緒に会社を立ち上げた、副社長・黒木竜馬役のSnow Man・向井康二(31)だ。初回から茉海恵の替え玉作戦に巻き込まれ、いろは(池村)の偽パパにふんしていたが……。

 最近のSnow Manは俳優業に進出するメンバーが多く、阿部亮平(31)が『あなたを奪ったその日から』(フジテレビ系)で人生を踏み外す家庭教師。深澤辰哉(33)が『誘拐の日』(テレビ朝日系)で、優秀だが訳ありの秘書を演じたが、どちらも違和感があった。2人は俳優のキャリアが浅いだけに、自身のキャラと離れた役どころは、どうもぎこちなさがあったのだ。

 グループ内ではボケが多めでイジられキャラの向井が、公式サイトで「会社の急成長を陰で牽引する頭脳派」とある、自身のキャラとはかけ離れた黒木をうまく演じられるか。また、バディとなるのが演技おばけの川栄だけに、向井が実力を出す前に食われてしまい、盛り上がりに水をさす可能性もある。

 次回は、いろはの柳和学園小学校の受験本番。母親にふんした薫(波瑠)は親子面談に挑むことに。メインもサブもキャストは盤石だが、その中で、ドラマの成功は向井の演技の出来にかかっているかもしれない。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。