■ネットは求めてない情報が出てきづらい
ネットの本質は何かというと、これは糸井重里さんが言っておりますが、“リンク・シェア・フラット”だそうです。リンク=つながる、シェア=分かち合う、フラット=貸し借りナシ。
貸し借りナシというのは、インターネットは、本名を明かさず、お互いに名乗り合わずに名なしのままで一種の“仮面舞踏会”を楽しむことで、フラットな関係になるという意味。その結果、匿名性のもとに、情報を交わすことに集中できるというのがネットの大きな特徴なんですね。
その象徴とも言えるのが『2ちゃんねる』というネット掲示板。匿名性を生かして「言いたいことがあったら言えばいいじゃん」という従来の知的権威性を見事に転覆させた、誰でも情報を発信できる、なんでもありの掲示板の落書き。
著者は、ここで実に面白いことを述べています。
情報の氾濫するインターネット空間で、いかに必要のない情報を除去し、ノイズのない情報を伝えるかが重要視されることは、説明の必要もないほど私たちも痛感するところだろう。働いていて、本が読めなくてもインターネットができるのは、自分の今、求めていない情報が出てきづらいからだ。求めている情報だけを、ノイズが除去された状態で、読むことができる。それが〈インターネット的情報〉なのである。
ネットやSNSから流れ込む情報には“自分の欲しい”情報しかない。
一方、知識には“ノイズ”がいっぱいついてくる。だから、本を読むとき、読者は知るつもりのなかった情報を受け取ったりする偶然がある。私たちは、それを“知識”と言って比較的覚えているもんです。
でも、ネット上の情報から、「いつか役に立つかもしれないから覚えておこう」という余計な知識が、ほとんどない。必要ない知識とは出合いにくく、欲しい情報だけを得られるようになっている。
これは武田説ですが、情報とはズバリ言うと“生もの”。刺身と同じで、一番大事なのは“今、食えるかどうか”。
煮炊きは一切しないし、塩も振らなきゃ、発酵もさせないから“食うか捨てるか”しかない。それが“情報”というものなんだ。