■『鎌倉殿の13人』パターンは通じないか
第1話のリカ(二階堂)、第2話のおばば(菊地凛子/44)とフレ(長野里美/64)に続き、第3話がトニー(市原)と、登場人物が入れ替わりで終盤のヤマを作るのがパターンのようだ。確かに市原はよかったが、ストーリーに目を向けると、稽古が始まり、巫女・樹里(浜辺)の事情がわかったぐらいで、あまり進んでいない。
別の言い方をすると、ストーリー展開が遅いうえに、トラブルを乗り越えながらも劇場で芝居を上演するという筋がシンプルであまり山場がない分、演者でなんとかヤマを作っているようにも見える。もちろん、各人の技量は素晴らしく、それだけでドラマが成立してしまうが、演者頼みすぎないだろうか。
X上には、《元々、三谷幸喜さんの作品って序盤はそんな大騒ぎするほどワクワクするわけではなくて、一つのところへ収束していく感じが出てくるとグイグイ引き込まれていくんだよね。鎌倉殿の13人だってそんな感じだったでしょ》という意見もあるが、1年かけるNHKの大河ドラマならともかく、1クールの民放連ドラのスピード感では、物語が収束していく感じが出た頃には、視聴者は離れてしまうのではないだろうか。
しかも『もしがく』は登場人物が多い。地上波に先行して配信されているFODで第4話を見た視聴者によると、次はモネ(秋元才加)がフィーチャーされるようだ。物語が盛り上がるまで、誰かがフィーチャーされるパターンが繰り返されることになると、視聴率がV字回復するのはまだ先になりそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)