■【画像】日本初となりそうなのは、これまた意外な温泉地
とはいえ「空飛ぶクルマ」が発展していけば、地域課題の解決や新産業の創出には大きな進歩があるだろうと桃田氏は続ける。
「実際にJR九州が活用を検討しているのは、市街地から遠く離れた大分空港と、別府・由布院などのリゾートホテルを空飛ぶクルマで結ぶ“シャトル運航”。
空港と温泉地は、別府湾の対岸に位置するので、車で3時間かかる距離を、空路なら15~20分で移動できます。インバウンド客の誘致などにも一役買うはずです」
ちなみに、今回万博でANAと空飛ぶクルマを手掛けたJoby Aviation社は、2020年にライドシェアの大手Uberより“空飛ぶタクシー”の研究部門を買収している。
Uberの目標である“陸・海・空すべてのライドシェア”がかなうなら、「近い将来には我々が当たり前に利用する乗り物に“革命”が起きるかもしれない」として、桃田氏は続ける。
「2010年代半ばから世界的に『シェアリング』が定着し、電動キックボードや自転車のシェアも今では当たり前になっています。今後は『空飛ぶクルマ』のサブスク化や、水上タクシーなどの新たな乗り物のサービスが進化する可能性もあるでしょう。今年はウェイモによる『自動運転タクシー』のテストも始まりましたし、今後10年で変化は起こるのではと考えています」
今はまだ夢物語のように聞こえる「空飛ぶクルマ」。近い将来には、クルマが空を飛ぶ景色が、当たり前になるのかもしれない。
桃田健史(ももた・けんじ)1962年東京生まれ。東海大学工学部動力機械工学科卒業。専門は世界自動車産業。また、その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバーする。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。日本自動車ジャーナリスト協会会員。