■「新しい旅のカタチ」が流行る理由は?

「こうした移動と宿泊を組み合わせた旅が注目される背景には、旅行需要の回復とともに高騰する宿泊費があります。不動産データ分析会社STRによると、2025年8月の国内ホテルの平均客室単価は2万257円と、前年同月比で4.8%上昇。インバウンド需要の回復や円安の影響も重なり、国内旅行者が宿泊をためらうケースも増えています。その結果、『時間をずらす』『移動しながら泊まる』といった発想が新たな選択肢に。早朝ツアーで渋滞を避け、船で夜景を眺めながら宿泊し、夜行バスで眠りながら目的地へ向かう。どの方法も、従来の『移動=我慢』『宿泊=滞在』という固定観念を覆すものと言えます」(旅行サイト編集者)

 目的地へ行くことから「過程そのものを楽しむ」――そんな“渋滞知らずの旅”が、これからのスタンダードになっていくのかもしれません。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。