■夏帆・竹内涼真を引き立てる名バイプレイヤー

 X上では、《良い後輩だよね。海老勝の真っすぐさが南川ちゃんを素直にしている感じすらある》《回を重ねるごとに南川の存在感が大きくなってる。飲みに誘うとこと酒屋のシーンめちゃくちゃよかったな》などと、南川への反響が大きかった。演じる杏花は、代表作と言える作品はまだないが、さばけた感じがナチュラルで、今後、出演オファーが増えそうだ。

 一方、青木柚が演じるミナトも、心を込めて食事を作る鮎美(夏帆)に「外食や宅配でも大丈夫だから無理はしないで」と言ったり、バーで楽しく飲んだあと、鮎美が家に帰って自分の手料理を食べようと誘うが、元カノたちと一緒に盛り上がってしまって深夜帰宅するなど、本人は悪気なくいつも通りのふるまい。それが鮎美を追い込んでいく流れもすごい。

 こちらもX上の反響が大きく、《チャラ男の役に青木柚ってキャスティング天才過ぎる。「ああいうのが実は危ない」的なルックスにズバッとハマってて素晴らしい。絵に描いたようなチャラい見た目だと、鮎美が騙されることへの説得力が欠けてしまうもんなぁ》などと称賛。こちらのストレスをぶつけられないかわいさが、鮎美の悲劇を増幅させているのだ。

 前半は、会社の後輩で料理好きな勝男(竹内)の良き理解者・白崎(前原瑞樹/33)、細かいことは気にしないスカッとした性格の勝男の友達・椿(中条あやみ/28)が話題になったが、サブはメインの2人を引き立たせる重要な役どころ。白崎、椿に南川とミナトが加わったことで、物語の態勢は盤石になった。今後も『じゃあつく』の勢いは止まりそうにない。

 TVerのお気に入り登録数の140万超えは、阿部サダヲ(55)主演の話題作『不適切にもほどがある!』(フジテレビ系)の139.8万を上回っており、もはや社会現象レベルのヒットと言える。「ふてほど」のように「じゃあつく」が今年の流行語になったり、お気に入り登録数でも『VIVANT』の191.8万を超えなど、今後への期待がふくらむ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。