■視聴者が離れた理由は……

 X上では《初日公演直前にトラブルが多く発生しクベが悩み慌てるというのも三谷脚本の味が出ている》《大学時代に演劇部だった私にはめちゃくちゃ刺さる。本番前のどうでもいいことで問題が起こるドタバタ感とか、舞台の手作り感とか本当にリアル》など、称賛するコメントは多かったが、内容から考えるに三谷ファンと演劇経験者ばかりのようだ。

 その一方で、《舞台の内容を一切見せないとは思わなかった。どう失敗だったのか視聴者に伝わらないから、なんか後半の久部の苦悩やみんなの慰めが全然入ってこない》《今のところ、あれこれのエピソード同士があんまり絡み合ってる感じがしない…》《どういうモチベーションで見たら良いのか……が続いて5話になってしまっ》など、一般視聴者からは苦言が多い。

 登場人物が多すぎるのに加え、それぞれの人物描写が少ないので、セリフやふるまいが響いてこない。どうしてリカ(二階堂)は久部(菅田)に思わせぶりな態度をとるのか、モネ(秋元)と息子の関係、トニー(市原隼人/38)とパトラ(アンミカ)の関係、蓬莱(神木)は何を目指しているのか、全く見えてこない。もし、これらがわかれば、見る者の思い入れも高まると思うのだが……。

 そんな中で、かわいそうなのが巫女・樹里を演じる浜辺美波だ。ストリップに反対しているけれど、それは本筋にほとんどリンクしていない。うる爺(井上)からストリップダンサーの心意気を教えてもらい心情に変化が出てきたようだが、もしこのまま、「シェイクスピアを知っていると意地を張って……」というエピで終わりでは、あまりに無駄使いがすぎる。