■不可解な新キャラの登場

 今回の匂わせから、樹里(浜辺)と蓬莱(神木)との関係が描かれそうだが、浜辺と神木が夫婦を演じた、NHK朝ドラ『らんまん』の転生などと騒ぐ以外、何者ともわからぬ2人の恋に誰が関心を持つだろうか。いっそ、樹里も劇団クベシアターに参加するとなれば、浜辺を起用した意味が見えてくるかもしれない。

 主要人物や劇団員の背景はこれから描くかもしれないが、回数(同枠は通常全11話)から考えて、全員まで手が回るはずはないだろう。初回で駆け落ちしたダンサー・ダンカン(小池栄子/44)も帰ってくるだろうし、伝説のシェイクスピア俳優・是尾礼三郎(浅野和之/71)という新キャラを登場させている場合ではない、とも……。

 メインの菅田、二階堂、神木、浜辺だけでなく、サブのアンミカ、市原、坂東をはじめ、野間口徹(52)、長野里美(64)、戸塚純貴(33)、菊地凛子(44)。そして、少ししか顔を見せないが、存在感たっぷりな小林薫(74)など、演者たちの演技は素晴らしい。それだけに、つくづくもったいない作品だ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。