■「嫌われてもいいから印象に残ることを最優先に考えていました」
――成果が目に見えるとやりがいがありますよね。悪い大人に騙されることはありませんでしたか?
金久保 イヤなことは「イヤ」とはっきり言うタイプなので悪い大人は近寄ってきませんでしたが、上手く使われてしまうことはありました。舞台のチケットノルマがあって、あらかじめ40枚分自腹購入したり。週5で出ていた1か月のバイト代全額つぎ込んだこともありました。
――大変ですね……。今までどんなバイトをしてきましたか?
金久保 スーパーの中のパン屋さんから始めて、カフェ、コンビニ、ポップコーン専門店、派遣で家電量販店のMCとか、とにかくいろいろやりました。
――こんなにかわいい子がバイトしていたら、有名になるんじゃないですか?
金久保 いやいや(笑)。でもポップコーン屋さんでバイトしていたときは、いろんな地域に出店するお店で、どこに行っても買いに来てくれるお客さんがいました。「次はどの町に行くの?」と聞いてくれて。
パン屋さんのときは、舞台仕込みの大声で「いまから20%引きでーす! 焼きたてでーす!」とアナウンスしていたら「君の声、いいね! うちで働かない?」とバイトのスカウトをされたこともありました(笑)。
――よく通る声をしていますもんね。スカウトする気持ちわかります。バイトと舞台が主だったフリーの時期を経て、2016年からホリプロに所属していますが、そのきっかけが『SoftBank Presents NEXTSTAR GIRLS AUDITION』のグランプリを受賞したことでした。
金久保 ホリプロさんと、Softbankさん、LINE LIVEさんの3社主催オーディションで、動画審査があったんです。「15秒で自己PRをしてください」というもので、私、15秒中で3秒しか顔を映していなんです。
――12秒間は何をしたんですか?
金久保 きっとみんな、同じように顔を出して特技を披露するんだろうなと予想したので、なんとかして印象に残ろうと思い、最初の3秒で自己紹介をして、あとは部屋の電気を消して真っ暗のなか、サイリウムを振って全力でヲタ芸をするっていう。
――(笑)。
金久保 それで次の審査に進めることになり、「印象に残ったのかな、大成功!」と思いましたが、あとから聞くと、動画を見た9割の審査員がピンと来ていなかったそうで。
――伝わっていなかったんですね(笑)。
金久保 1人の審査員の方が「この子はいい!」と推してくださって、そのおかげで進めたんです。その人がいなかったら空回りして終わっていたと思います。
この頃から、自分はそれなりに「かわいい」と思って生きてきたものの「かわいいだけでは売れない」とわかってきていたんですよね。芸能界にいる女性は「かわいい」が大前提だし、異次元にかわいい人がたくさんいるし。だから「自分には、がんばることしか武器がない」と思い、嫌われてもいいからとにかく印象に残ることを最優先に考えていました。