横綱、親方として、相撲を通じて日本文化や神事に長らく関わってきた貴乃花。自身が体験したことや、本を読んで学んだこと、そして、心に残った“ニッポンの魅力”を、歴史の話も交えながら伝えていく。

 暦や時間に限らず、私たちの身の回りには常に“数字”がありますよね。

 しかも、その中には文化と深く結びついたものや、不思議な力を宿すと信じられてきたものがあります。

 まず、日本の神道では、“8”が特別な意味を持っています。「八百万の神々」という言葉に象徴されるように、8は、古くから、無限や、果てしない広がりを意味し、重んじられてきました。

 その考えを分かりやすく伝えているのが、日本最古の神社の一つ『出雲大社』(島根県)です。一般的な作法が2礼2拍手1礼なのに対し、出雲大社では、毎年5月14日の例祭で、2礼8拍手1礼という特別な形でお参りします。神様への感謝と敬意を込めて、8拍手=限りない拍手を捧げるというわけです。

 また、“八”という漢字は、形が末広がりで縁起が良いとされていますが、中国でも同じように、「発財(財を成す)」の“発”と発音が似ていることから、富や繁栄の象徴として親しまれているそうです。