■コーチ縦割り人事の影響は!?

 では、あえてヘッドを置かない3チーフ制で挑む来季巨人の勝算や、いかに。

 第2次原政権でヘッドコーチを務めた伊原春樹氏が、あきれ顔で、こう断じる。

「重要なのは肩書きじゃなく、具体的に何をするかだろう。わりと忖度をするタイプの橋上やバッテリーチーフの村田の善ちゃん(善則)が、厳しいことを言えるかには疑問が残る。ディフェンス面を仕切る川相(昌弘)は、そこそこ物も言うだろうけどね」

 同じく第2次原政権でバッテリーコーチを務めた秦真司氏は「責任の所在を明確にさせる意味では良い試み」として、こう続ける。

「若い投手が多い今の巨人だと、配球面ではおそらく捕手が主導権を握っている。その意味で、投手・捕手の双方にバッテリーチーフが責任を持つというのは、実は合理的だとも感じます」

 その若い投手たちの成長が、来季巨人の命運を握っている。

「特に先発陣は立て直しが必須。6回以上を3自責点内で抑えるクオリティ・スタートの数はリーグ最少で、完投数はわずかに2。疲れの見える9月は先発陣の防御率が5点台を超える有様でした」(前出の元デスク)

 長年、チームを支えた右腕の不調も響いた。

「エース戸郷翔征(25)は明らかに勤続疲労。秋季キャンプにも参加せず、疲労回復に務めていますが、球団内に“来年も厳しいのでは”との声もある。それに、グリフィン(30)はメジャー復帰を狙っていて退団の可能性もある。そうなると、絶対的に先発はコマ不足」(スポーツ紙記者)

 前出の伊原氏も、心配そうに語る。

「それが戸郷のスタイルであることも承知しているが、やはり“野手投げ”に近いあの投げ方は気になる。先々を考えるなら、重心をもっと低く、下半身を使ったフォームへと早めに変えたほうがいい」(伊原氏)

秋季キャンプに不参加のエース戸郷 ※画像/産経ビジュアル

 先のドラフトでは、一番の目玉選手の創価大・立石正広(22)をあえて避け、鷺宮製作所の社会人左腕・竹丸和幸(23)を一本釣りし、投手力強化を狙った。

「竹丸は、まとまりがあって完成された投手。ドラ2の早大・田和廉も、ドラ3の亜大・山城京平も、中継ぎタイプ。阿部監督の“すぐに使える投手”というオーダーに忠実な指名です。

 ただ、球団内には“もう少しスケールの大きい選手を指名したかった”という声もありますね」(A氏)

 では、FAでの補強はどうか。中日・柳裕也(31)や、ソフトバンクから米球界への再挑戦を目指す有原航平(33)、日本に復帰の前田健太(37)らの“獲得調査”報道もあるが……。

「柳は右肩痛を抱えているし、有原はソフトバンクとのマネーゲームに勝てるかどうか。マエケンはすでにロートル」(デスク)

 しかし、球団内部には、手当たり次第の補強をすべきとの声もあるという。

「監督時代の原さんは“FAしたら参加するのがジャイアンツ”と語っていました。今オフFAの目玉、阪神・近本光司(31)を“ウチには彼のようなタイプはいる”なんて理由で、及び腰になっているのを見ると、巨人も変わったなと思いますよ」(B氏)

 岡本和真(29)が退団する危機的状況で、補強は不可欠と思える。

「岡本が故障離脱した5月のチーム得点数は68点で、3月〜4月の93点から激減。終わってみれば、ホームラン数も岡本だけでチーム総数の約16%を占めるなど、彼に依存した状況は明らかでした」(デスク)

 なんとしてでも埋めたい岡本の穴。「欲しい欲しい病」は、“ミスター”長嶋茂雄監督の時代から続く、巨人のお家芸とも言えるが。

「FAを迎える他球団の選手に、シーズン中から水面下で接触するのは公然の秘密。でも、昨年で言えば自ら秋波を送ってきていたDeNA・佐野恵太(30)を“足が遅く肩も弱い”と袖にしたり、かねて狙いを定めていたオースティン(34)が“DHのあるパ・リーグ志望”と分かると、あっさり撤退したり……。

 22年の森友哉(30)の獲得失敗から続く、フロントの弱腰が、ここまでチームを弱体化させたんだと言えます」(B氏)

 前出の秦氏も「長距離砲で4番を固定できるに越したことはないが」と前置きしたうえで、こう続ける。

「いないなら、いないでも“つなぎの4番”と割り切るなど、戦いようはある。幸いオフェンスを仕切る橋上チーフは今季、作戦戦略コーチとして戦況をつぶさに見ている。野村克也監督の下で、ともに“シンキングベースボール”を学んだ者としても、適材適所で力を発揮してほしいですね」

 ちなみに、いくら状況は厳しいと言っても、そこは腐っても天下の巨人軍。

「伸び代を感じさせる有望な若手は、現時点でも他球団よりは豊富にいる」と伊原氏も、こう話す。

「開幕時点では、誰も泉口友汰(26)が首位打者争いを演じるとは思っていなかったでしょう。山瀬慎之助(24)や石塚裕惺(19)は、打率3割超と、下では結果も残せているし、3位指名の皆川岳飛(22/中大)なんかも、ハマればかなり面白い存在になるよ」