■国分太一の“やつれ会見”が世間に伝えるもの――
中居氏は昨年末、2023年6月に元フジテレビの女性アナウンサーAさんとの間にトラブルがあったことが報じられた。騒動はフジテレビ内部のハラスメントや人権意識の低さなども指摘される“中居氏・フジテレビ問題”へと発展する事態となったが、中居氏は会見を開くことなく、今年1月23日に芸能界を引退した。
引退後の中居氏は、3月31日にフジテレビなどが設置した第三者委員会が中居氏とAさんのトラブルを「性暴力」と認定したことについて、5月から“反論”を行ない、第三者委員会に同認定の撤回を求める要求を7月5日までに計4回提出。
中居氏サイドの反論は、8月6日配信の『週刊文春 電子版』に公開された記事に、代理人弁護士が同日、反論声明を出したのを最後に沈黙中。そして現在まだ中居氏は、公の場に姿を見せていない。
「中居さんはもう芸能界から引退しましたし、芸能活動を再開させる意思がないために会見は開かない、というところはありそうです。
一方で、国分さんは中居さんと違い、結婚していて二児の父親でもあり、まだまだ今後も家庭を支えるために働かなくてはいけないでしょう。売れっ子芸能人として、これまでかなり稼いできたでしょうが、働かなくても大丈夫というほどではないと見られています。ですので、時間はかかっても、復帰する必要があると。
そのため、詳細は何も言えない状況でも、将来的に芸能活動を再開するうえで強引にでも会見を開き、謝罪、釈明をする姿を世間に見せることが重要だったと見る向きもありますね」(前出のワイドショー関係者)
■元テレビ朝日プロデューサーの見解
数々の報道、情報番組に携わってきた元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏はこう語る。
「今回の国分さんの会見では、彼の顔や表情がとても印象に残りましたよね。やつれていたし、表情もおどおどしていた。言葉も、声が震えている感じで。そういう部分から、国分さんが非常に困った状況にあり、本気で反省していることは伝わりますし、真相が不明瞭な自身のハラスメント行為について”答え合わせ”をしたいだけだと真摯に訴えようとしている感じがしましたね。
加えて、会見を開いたことで世間は、“この人は本当に何をしたのかいっさい分からないまま、突然呼び出されて、すべてを失ったんだな”と認識し、他人事ではない感覚になるかと。国分さんはハラスメント加害者ではあるでしょうが、世間は同情ムードにもなりますから、結果的に、“何も言わない”日テレの心象が悪くなっている感もありますよね」
国分の会見を受けて、今後、日本テレビはどのような対応をすると考えられるか。
「おそらく、“身内”に近い立ち位置の人、日テレと仕事をしてる人が被害者でしょうから、日テレには被害者を守る責任があります。ですから、今回のような会見をされても、国分さんに対して妥協をしたり、すぐに態度を変えたりすることはないと見られています。当面は、国分さんサイドと日テレサイドで、平行線をたどることになるのではないでしょうか」(前同)
日本テレビは、国分の会見後、コメントを発表。
《会見で国分太一氏は“答え合わせがしたい”とおっしゃっていましたが、ヒアリングで国分氏自らお話しされた内容だけでもコンプライアンス違反に該当し、『青少年に見てもらいたい番組』に選定されている 『ザ!鉄腕!DASH!!』を降板していただくことを即断せざるをえないものでした》
《私共は一貫して関係者の保護を第一に対応しており、何よりも関係者が自分の身元を特定され、“二次加害”がもたらされることに強い恐怖を感じております。その観点から“答え合わせ”は難しいと考えております》
としている。
前出の鎮目氏はこう続ける。
「国分さんと比較する声も上がる中居さんの場合は、会見を開いて自分の言葉で伝えていないこともあり、彼の主張に多くの人が共感するのは難しいですよね。一方の国分さんには今回の会見を経て、同情論も増えました。会見は、やはり大きな境目になるものと言えるのではないでしょうか」
国分が公の場で口を開いたことで、再び動き出した感がある今回の騒動。今後の動向が注目される。
鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)