横綱、親方として、相撲を通じて日本文化や神事に長らく関わってきた貴乃花。自身が体験したことや、本を読んで学んだこと、そして、心に残った“ニッポンの魅力”を、歴史の話も交えながら伝えていく。
早いもので、今年も残すところあと1か月。年末は行事が目白押しですが、今回は、その中でも“クリスマス”に焦点を当ててみましょう。意外にも、日本と深い縁がある行事なんですよ。
まず、ご存じの通り、クリスマスはイエス・キリストの誕生を祝福するお祭りです。じゃあ12月25日がキリストの誕生日なんだと思いますが、実は、キリストがいつ生まれたかは聖書に記されておらず、はっきりと分からないそうです。
12月25日になったのは、一説では、古代ローマで信仰されていたミトラ教が関係しているといわれています。ミトラ教は太陽神ミトラを崇拝する宗教で、一年のうちで昼が最も短くなる冬至(12月22日頃)に、太陽の復活を願う“冬至祭”を行っていました。
そして、4世紀にローマ皇帝がキリスト教を公認。クリスマスの元となった“キリスト降誕祭”の日付を定める際に、ローマの民衆に親しまれていた冬至祭の時期に合わせて12月25日にしたのが、今日のクリスマスにつながっているといわれています。