■藤川監督のスキを狙う記者陣
――リーグ覇者の阪神は、どうですか? 金村曉コーチの退団など、首脳陣の不協和音も囁かれましたが。
A そのあたりは阿部巨人と似たようなもの。自分のやりやすい顔ぶれで周囲を固めて、緩衝材として経験豊富な和田豊さん(63)をヘッドコーチで入れた。まぁ、OB会の懇親会で「先輩方には、いろいろな媒体で来季も暴れ回ってほしい」と挨拶した藤川球児監督(45)のほうが、謙虚に学ぶ姿勢がある分、伸び代もある気はするよ(笑)。
C とはいえ、主砲の佐藤輝明(26)はもちろん、森下翔太(25)も、かねてからメジャー志向。エースの才木浩人(27)に至っては、ポスティングでの渡米が却下されて、あからさまに落胆しているともっぱらです。
B でもまあ、巨人の岡本にしたって、メジャー挑戦を公言し始めたのは30本塁打を6年連続でクリアしてから。「認めない」で首尾一貫してきた球団の姿勢をひっくり返したいなら、それぐらい有無を言わせぬ成績は必要だとも思うよね。
A そうね。来季のサトテルが他を圧倒して再びの2冠。才木は沢村賞を獲るとかなら、あるいは再考の余地も出てきそう。本来であれば、選手会が率先して統一ルールを作るぐらいの主体的な働きかけを、もっとすべきではあるけどね。
C まあ、選手や、その代理人たちからすれば、各スポーツ紙が「佐藤輝&才木、同時流出か⁉」なんて煽ってくれるのは、むしろ大歓迎って感じでしょう。世論の後押しがあれば、球団が動く可能性もそれだけ高まる。報じる側としても、見出しは派手であればあるほどいいわけですしね。
B 去年まで専属契約していた報知はともかく、藤川監督の極端な秘密主義には、各紙の番記者も苦労はしている。スキあらば「主力流出で藤川監督涙目」ぐらいのことは、そりゃ書くよ(笑)。
――対して、何事にもオープンな新庄剛志監督の5年目は、どう見ますか? 先日のファンフェスでは、開幕カードの3先発を早くもブチ上げていましたが。
A 自信の表れと見ていいんじゃないかな。FAで松本は流出。石井一成(31)は、仮に残ったとしても、今後はおそらくサブ要員。伏見寅威(35)をトレードで出したのも、田宮裕涼(25)らで来季は十分戦えるとの判断をしたからだろうし。
C 宿敵モイネロ(29)から唯一、2発を放っている山縣秀(23)を“専用機”として開幕5番に指名したのも、らしい采配でした。
B オフの期間も、個々の選手にメールやLINEで頻繁にアドバイスをしているって話だし、本当に風通しはいいんだろうね。2軍監督時代からの近寄り難さが、いまだに抜けない阿部監督あたりも、そのへんは見習ったらいいのにね。
A 冒頭の話じゃないけど、くだんの長嶋茂雄賞が、もし野手だけでなく野球人全般を対象とするなら、最有力候補は他ならぬ新庄だろう。“ファンを魅了”ってことにかけては、彼の右に出る者もいないしね。
B 宣言通りに日本一まで駆け上がれば、正力松太郎賞はまず間違いないでしょう。そうなれば、その受賞スピーチで「長嶋茂雄賞も僕にください」なんてことを言い出す姿も、容易に想像がつきますしね(笑)。
――ありがとうございました。次回はメジャー移籍組や新外国人らの動向が落ち着く年明けあたりで、またぜひ、お願いします!