■単純に「貧しくなった」とは言い切れない統計の“ゆがみ”

 とはいえ、数値の上昇をそのまま「貧しくなった」と結論づけるのは早計です。というのも、貯蓄を考慮して見た場合、実際のエンゲル係数はもう少し低い水準にとどまっているからです。

 将来不安から消費を抑え、貯蓄を優先する層が増えている結果、支出全体が減り、相対的にエンゲル係数が高く見えている可能性があります。平均値には富裕層の影響も含まれるため、実態より“ゆがんで”見えることも少なくありません。

 一方で、生活実感として「暮らしにくくなった」と感じている人は確実に増えています。SNS上でも次のような声が目立ちます。

「20年前と比べて食品価格は2倍なのに、世帯年収は500万円から400万円に減っている不思議」

「税金や社会保険料を取りすぎて、国民がどんどん貧しくなってしまった」

「最近は外食をやめて自炊が逆に楽しくなってきた」

 中には「牛丼280円の頃が懐かしい」といった投稿もあり、食費の高騰が日常生活の負担として実感されているようです。