■大関昇進の口上は自分の言葉で
2022年、たまたま世界ジュニア相撲選手権で知り合った関西大相撲部主将の自宅に避難し、その後、外国出身力士がいなかった安治川部屋に入門できたわけだけど、平和な日本にいられること自体に感謝しているのだろう。本当の意味の「ハングリー精神」が日本人や他の外国出身力士とは根本的に違っているよね。
大関昇進伝達式では、「大関の名に恥じぬよう、また、さらに上を目指して精進いたします」と口上を述べた。
若貴が大関に上がる頃から、口上にいわゆる四文字熟語を入れ込むことが流行り始めて、豊昇龍は「気魄一閃」、大の里は「唯一無二」という言葉を使った。
でも、安青錦は、難しい言葉よりも、自分で理解できる自分の言葉で、口上を発表した。師匠(安治川親方=元関脇・安美錦)には、「(口上は)自分で考えるように」と言われて困り果てたらしいけど、「いつも上(横綱)を目指す」と口にしている安青錦らしくていいんじゃないの?
所属の安治川部屋は、オレの焼肉屋『ドラゴ』に近い場所にある。焼肉好きな安青錦が店に来てくれたら、じゃんじゃん、ご馳走しちゃうけどなぁ。
今は182センチ、140キロほどの体だけど、もう少し体重が増えたら一気に押されることも少なくなるだろう。新大関の今後に期待だ。
貴闘力忠茂(たかとうりき・ただしげ)
1967年9月28日、兵庫県生まれ。二子山部屋(入門時は藤島部屋)入門後、83年に初土俵。最高位は東関脇。2000年に幕尻(前頭14枚目)で初優勝する。02年に引退し、大鵬部屋の部屋付き親方となるが10年に野球賭博関与のため日本相撲協会を解雇される。現在は焼肉店『ドラゴ』を経営。