■禁断愛だけで終わらなかった『愛の、がっこう。』

 内容的には、本作は禁断愛にとどまらず、格差、毒親、発達障害など、現代社会の問題をいろいろ扱っていて、実はかなりの社会派ドラマだった。カヲル(ラウール)が文字の読み書きに困難を抱える“発達性ディスクレシア”も、単なる愛実(木村)との個人授業のきっかけだけにせず、学習障害の実情なども語られ、正面からその問題に取り組もうとしていた。これによって、ストーリーはより重みのあるものになっていた。

 本作は、第29回日刊スポーツ・ドラマグランプリ2025年夏ドラマで、作品賞、主演女優賞・木村文乃、助演男優賞・ラウール、助演女優賞・筒井真理子(65)を受賞している。ドラマ自体の出来の良さもあったが、それに加えてラウールの成長が、作品のヒットと高い評価の鍵だったのだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。