■考察も冴えなかった『放送局占拠』

 しかし、毎回、同じようなツッコミをするのに視聴者も疲れたのか、視聴率は2話以降、4%台に落ちるなど盛り上がりに欠けてしまった。X上では《毎回思うが妖は全ての闇を知っているならなぜ武蔵三郎に闇を暴かせるのか?意味が分からない》という、本作の基本設定そのものへのツッコミが出てくる始末。

 さらに、黒幕である傀儡子の正体についても、プロデューサー・奄美(戸次重幸/52)であることは、視聴者の間で早くから考察されていて、真相がわかったときの驚きも弱めだった。ツッコまれつつも、考察で引っ張るのがシリーズの手法だが、どちらもイマイチとなると、数字が悪かったのも仕方ない。

 櫻井翔を看板に3作まで続いたが、次作はさすがに無理かもしれない。また櫻井自身も、20年代前半はコンスタントに、『ネメシス』「占拠シリーズ」(ともに日本テレビ系)、『笑うマトリョーシカ』(TBS系)と主演作があったが、今後は本作の低迷が影響してしまうかもしれない。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。