■高橋海人と森本慎太郎、マイナス方向へのシンクロに期待大

 高橋は、自分に自信がなくて周囲を気にしてしまうところがある。歌や踊り、芝居、アーティストとしての活躍など、底なしの才能を多数持っているのに、いざとなると緊張するし不安になってしまう。

 この部分は、若林役に通じるものがあるだろう。ネガティブな芝居でいうならば、ドラマ『姉ちゃんの恋人』(フジテレビ系/2020年)で見せた、姉ちゃんに好きな人ができたことを知った時だ。キッチンで鼻歌を歌いながら料理をする姉ちゃんを見る高橋が、見知らぬ男に浮かれているという不安と嫉妬が混じった目をしていたのが今でも忘れられない。

 そして『ドラゴン桜』(2021年/TBS系)での、実家のラーメン屋が危機に直面していた時だろう。闇金融の取り立てに悩み苦しむ姿は本当につらそうだったし、解決した時に流した涙にもらい泣きをしたものだ。

 一方、森本はパワフルでパフォーマンスにブレがない。所属グループでのパフォーマンスは力強さと色気に満ちているのに、バラエティ番組で大自然のロケ地に行けばワイルドに動き回るといった、まさにエンターテイナーだ。

 それは芝居でも見ることがあって、『ナンバMG5』(2022年/フジテレビ系)では、パワフルで喧嘩が強くて、でも仲間のためなら自分が潰れることもいとわない、友だち思いの優しいヤンキーだった。そして『泳げ!ニシキゴイ』(2022年/日本テレビ系)だろう。端正な顔立ちなのに、スキンヘッドでもいけてしまうのは、表情や仕草まで細やかに演じていたからだ。

 高橋、森本それぞれの特性と芝居力が、マイナス方向で発揮されたら、いったいどうなるのだろう。どちらも個性の強い役柄だが、高橋や森本が持つ本来の良さがエッセンスになれば、魅力的な人物になることは間違いない。ドラマのスタートが楽しみだ。(文・青石 爽)