■新境地に挑んだ及川光博

 そして、日曜ドラマ『ぼくたちん家』(日本テレビ系)で主演した及川光博(55)だ。同作は、動植物園職員・波多野玄一(及川)と、中学生教師・作田索(手越祐也/37)、訳ありすぎる中学3年生・楠ほたる(白鳥玉季/15)たちによるホーム&ラブコメディ。及川が演じる玄一は、心優しく不器用なゲイ。

 最近は主人公と敵対する役やライバル、いわゆる引き立て役が多かった及川。年齢的には自然な流れだが、もともとはミッチーと呼ばれる王子様キャラだった及川らしさは消していたかもしれない。今回は堂々の主役で、しかもダメな空気をまとったゲイのおじさん。どうなるかと思えば、これが見事にハマっていた。

 また、玄一にツッコミを入れる、索とほたるの存在も大きかった。自身の明るいイメージとは違う、落ち着いた雰囲気の策を丁寧に演じた手越。今が伸び盛りのまぶしさを持ち、たくましく生きる役どころの白鳥の2人が、玄一を際立たせていた。この座組だからこそ、及川の新境地が輝いたのだろう。演技の幅を更に広げた今後に期待だ。

 俳優が進化していく姿を楽しむのも、ドラマを見るときの醍醐味の一つだ。各俳優の今後に期待したいが、26年1月スタートの冬ドラマで、どんな俳優が進化する姿を見せてくてるかも気になるところだ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。