相撲界の内情や制度、騒動の行方を、元関脇・貴闘力が現場目線で読み解く。経験者だから語れる、大相撲のリアルが詰まったコラム。
現在、大相撲界のトップは、八角理事長(元横綱・北勝海)。
その下に各一門から、理事が選出されるわけなのだが、2月には2年に1度の理事選が行われる。
理事選と言えば、いろいろな思い出があるが、一番は弟弟子だった貴乃花親方(元横綱・貴乃花)が「理事選に出馬する」と言って、オレに協力を仰いできたことだろう。
当時、貴乃花親方は30代と若かったし、「次の選挙まで待てば?」とアドバイスしたんだけど、貴乃花親方の意志が固く、オレは票集めに奔走した。
前年の九州場所くらいには、一門の親方たちが集まって、次の理事候補を決めるんだけど、その牙城を崩さないと、貴乃花親方の当選はない。そこで、一門外の親方を口説いた結果、見事、当選した。
その後、あれこれあったとは言え、「角界改革」を目指した貴乃花親方の行動は間違っていなかったと思うよ。
11月の九州場所中から、理事選がらみの、いろいろな噂が飛び交っていた。
でも、結果から言えば、昭和38年生まれ、62歳の八角理事長がもう1期、理事長を務めることになりそうだ。
八角親方の1コ上には、芝田山親方(63=元横綱・大乃国)、春日野親方(63=元関脇・栃乃和歌)境川親方(63=元小結・両国)という重鎮がいたんだが、相撲協会の定年が65歳だから、2年間の任務を務めることができない。