横綱、親方として、相撲を通じて日本文化や神事に長らく関わってきた貴乃花。自身が体験したことや、本を読んで学んだこと、そして、心に残った“ニッポンの魅力”を、歴史の話も交えながら伝えていく。
気がつけば、2025年も、あとわずか。“大晦日(おおみそか)”が、すぐそこまで近づいています。
「晦日」は、もともとは「三十日(みそか)」と書き、月の最終日を指す言葉です。旧暦では1か月が30日で終わることが多かったので、その名残で今も、1年の最終日を大晦日というわけです。
古来、お正月は福をもたらす年神様がやって来ると考えられていて、大晦日は、その神様を迎える準備の日でした。家を清めて、そばを食べて祝い、除夜には家長が神社へ年籠(としごもり)をし、家に残る家族も夜通し眠らずに新年を待つ。こういった風習が、現代の私たちにも受け継がれています。
年始といえば1月1日ですが、旧暦でいうと、新年は2月3日以降なんです。だから、節分以降が新しい年と思っておくといいのかなと、私は考えています。
とりわけ私の場合、今まで年の瀬に大変な事態が起きたりしていたので、落ち着いて気持ちを新たにできる――という意味でも節分頃が新年という感覚です。