妻夫木聡(44)が主演を務めた日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)は、JRAが全面協力し、馬主、調教師、騎手なども協力して、実際の競馬場でも撮影が行なわれたことが話題になったが、視聴率や配信の数字的には少々寂しいものに終わった。

 同作は、早見和真氏の同名小説(新潮社)が原作。ロイヤルヒューマンの競馬事業部専任秘書・栗須栄治(妻夫木)を主人公に、競馬に関わる人間たちの夢と情熱に溢れた20年間が描かれる。全話平均視聴率は10.6%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)、配信サービス・TVerのお気に入り登録数は100万と、ともに日曜劇場にしては物足りなかった。

 JRAが全面協力したとあって、北海道の自然豊かな牧場や競走馬の姿が美しく、制作陣の力の入りようは明らか。また、現役騎手がゲスト出演するなど、競馬ファンの心をつかむ演出が多々あり、X上では《過去のレース映像が使われていてそこに出ていた馬各位もスタッフロールに出てきて。不慮の事故で亡くなった応援していた子が出てきたので泣きました》など、競馬ファンからは称賛の声が多く寄せられていた。

 人間のドラマとは別に、競馬を描くことにも注力していた本作。そのぶん、対立や葛藤といった日曜劇場お得意の人間ドラマが薄くなってしまうところがあった。もちろん、山王耕造(佐藤浩市/64)のライバル馬主として椎名善弘(沢村一樹/58)がいたり、耕造の本妻・京子(黒木瞳/65)や息子・優太郎(小泉孝太郎/47)とのお家騒動も描かれたが、やはり人間ドラマが足りなかった。原作があるため仕方ないが、20年にわたる“継承”の物語を1クールで描くため、どうしても展開が駆け足になってしまうのも原因だったのだろう。