日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が、本サイトで現代の時流を徹底解説。いま戸田氏が注目するのは、子供の習い事について。根強い人気を誇る「スポーツ」と「楽器」。どちらが脳に良いのかという問いは、親であれば一度は気になるテーマでしょう。
近年、脳科学の研究が進むにつれて、それぞれがまったく異なる角度から脳を刺激し、学習能力や非認知能力の向上に寄与することが明らかになってきました。そんななかで再注目を浴びているのが、基礎運動能力を底上げする「かけっこ教室」です。人気の背景には、脳科学と実体験の両面から裏付けられた説得力があります。
走る、跳ぶ、投げるといった全身運動は、記憶を司る海馬を刺激し、新しい情報を吸収する力を高めるとされています。運動を定期的に行うことで海馬の神経細胞が増え、記憶力が向上したという研究結果も報告されているのです。授業前に軽いランニングを取り入れただけで学習効率が上がった例もあるといい、運動が脳機能に与える影響は想像以上に大きいと言えるでしょう。
また、体を動かすとストレス反応を引き起こす扁桃体の働きが落ち着き、心の安定にもつながるとされています。「外で思い切り遊んだ後の爽快感」は、脳の内部でストレスが減り、気分を整える神経活動が起きている証拠なのです。
さらに、スポーツは「できた」という成功体験を積み重ねやすく、自己肯定感を高めるうえでも非常に効果的。「かけっこ教室」は走る動作に特化して基礎運動能力を高めるため、運動全般への自信がつきやすく、子供の心と体の成長に大きく寄与します。