■頭の良さと関係する習い事に4つの要素

 では、頭の良さと関係する習い事にはどんな共通点があるのでしょうか。

 脳科学の視点では、「同時に異なる動作を行う」「反復学習がある」「コミュニケーションが多い」「創造的な作業が豊富」という4つの要素が鍵とされているようです。

 ピアノやギターなどの楽器演奏は両手の異なる動きを同時に行うため、前頭前野を大きく刺激します。また、そろばんは高速で反復計算を行うことで思考速度が上がり、右脳のイメージ力も鍛えられます。サッカーのようなチームスポーツは、仲間との会話や判断が欠かせず、協調性やコミュニケーション能力が育まれます。絵画やブロックなどの創作活動も、発想力を広げ、新しい刺激を脳に届けてくれるとされています。

「子どもが伸びる習い事には“上達のプロセスが見えること”が共通しています。スポーツでも楽器でも、昨日より今日、今日より明日と、少しずつできることが増える経験が、子どもの脳に強い動機づけを与えます。

 これは知識の暗記とは違い、自ら挑戦した結果を得られるため、自信と好奇心が同時に育つのです。大切なのは、習い事が“評価される場”ではなく“挑戦できる場”になっているかどうか。子どもの脳は、楽しさと達成感を栄養にして最大限に成長していくのです」(教育関係者)

 ネット上でもこの議論は盛んで、《小学校時代には始業前に全員で5分間校庭をぐるぐる走らされていたけど、結構先進的だったのだと改めて思う》《動きながら楽器を弾くマーチングバンドが最強かも》《絵画や彫刻なんかも学力に貢献しそう》《吹奏楽部って成績良いイメージある》といった声が聞かれます。

「スポーツ」も「楽器」も、どちらも子どもの能力を引き出す強力なツール。子どもの「夢中になれる気持ち」こそ、脳を最大限に成長させる原動力と言えそうです。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼(とだあおい)
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。