武田鉄矢が、心を動かされた一冊を取り上げ、“武田流解釈”をふんだんに交えながら書籍から得た知見や感動を語り下ろす。まるで魚を三枚におろすように、本質を丁寧にさばいていく。
日本在住のドイツ女性マライ・メントラインさんが書かれた『日本語再定義』(小学館)という本を題材として、日本人の我々は気づかない、外国の方から見た“日本語の不思議”をテーマに語っております。今回は3回目。《#1はこちらから》 《#2はこちらから》
言葉の奥にある“開かずの間”に隠された日本語特有のレトリックを武田流解釈を交えて解き明かしていきましょう。
【萌え】
名詞で『萌え』。動詞で『萌える』。
本書には『萌え』の一般的な意味が載っています。
【草木が芽を出す。芽ぐむ】[俗に、ある物や人に対し、一方的で強い愛着心・情熱・欲望などの気持ちをもつ](デジタル大辞泉)
そして、ウィキペディアにはこう書かれているそうです。
日本のサブカルチャーにおけるスラングで、主にアニメ・ゲーム・アイドルなどにおける、キャラクター・人物などへの強い愛着心・情熱・欲望などの気持ちをいう俗語。意味についての確かな定義はなく、対象に対して抱くさまざまな好意の感情を表す
萌えという言葉は、実は日本人の間でもその意味が共有されていない。一種の“不十分で暗号化された”言葉。あの人の「萌え」と、この人の「萌え」は違う。つまり一人ずつ言葉の解釈の意味が違うわけ。
我々世代がグラビアの女の子を見て、軽々しく「萌え」なんて言ったりすると、若い人たちから、「違う違う! そういう意味じゃない」。
グラビアを見て美しい裸体をした女性に「萌える」というのは正しい用法ではありません。実はそれだけじゃ、萌えじゃない。
この言葉が流行った当時、オタクと呼ばれる人たちが、少女に「萌え~」と言っているイメージが強かったと思います。