■貴乃花が闘った角界最強力士は…

板垣:貴乃花さんが、現役時代に一番強い、と思った力士は?

貴乃花:かっこつけて言うわけじゃないんですが、自分が一番の脅威でした。

板垣:自分との闘いだった?

貴乃花:そうです。自分をしっかり制していれば、もう一人の自分に負けなければ、勝負ができると思っていましたから。それだけに常に鍛えておかなきゃいけないと、思っていた。

板垣:コンディション作りという言い方で。

貴乃花:まさにそれですね。大関になる力士はみんな鍛えているから自分の形になると、やっぱり強いんですよ。

2001年夏場所では武双山ともやりましたが、彼も強かった。

 

――2001年夏場所。全勝で迎えた14日目、貴乃花さんは武双山戦で土俵際で巻き落とされ、右膝半月板を損傷する大ケガを負いました。

貴乃花:でも、横綱は相手の形になっても勝てないといけない。相手の十二分の力を受け止め、一瞬で自分の形に持っていく。それができないと横綱じゃないんです。

ただ、バリバリの横綱だって、負けるときは一瞬で負けるんです。それがガチンコなんですよ。簡単に何連勝とかできないんですよ。

板垣:武双山戦の翌日に(千秋楽の優勝決定戦で)武蔵丸(第67代横綱)を投げて、ものすごい形相になってね……。

貴乃花:それで言うと、私が横綱の晩年になったとき、一番強いと感じたのは武蔵丸さんでしたね。あのときの彼が本気でやったら、誰も勝てないですよ。

武蔵丸
武蔵丸は骨格から違う! (画像/産経ビジュアル)

板垣:ちなみに武蔵丸は、ダンクシュートができたという話を聞いたことがあるんですけど。

貴乃花:彼はアメフトの選手でしたから。遊びでやっているのを見たことがあるし、アメフトのボールをバーンと何十メートル先まで投げているのも見たことがあります。

板垣:その身体能力で、あれだけ大きければ、そりゃあ強いだろうな。

貴乃花:体型でいうと今の子も大きいですけど、私と同時代の武蔵丸さん、小錦さん(元大関)、曙さん(第64代横綱)は、日本人とは骨格から違いましたね。69連勝の双葉山さん(第35代横綱)とか、伝説級の力士も吹っ飛ばせると思います。