■生放送終了後、若山富三郎は「久米の野郎!」と怒っていた
久米さんからの、突然の地価高騰に関する若山富三郎さんへの質問――。
「質問を受けて親父は、少し間が空いてから、“俺にはわからねぇ”って言ったんですよね。そしてその後すぐ“でも、ギャラに関しては俺が一番高い”と発したんです。久米さんはそれを受けて“そうですか”とだけ言い、次に進行していました。なんとも凄い放送でした(笑)」
その後、番組はCMに入ったというが、CM明け、“異変”が起きていたという。
「親父の顔が赤くなっていて、そして久米さんの顔は青ざめているように見えたんです。詳しいところは分かりませんが、おそらくCM中に親父が久米さんに怒鳴ったんじゃないかと。
2人の顔色を見て私は、“ここから先の放送は大変なことになるんじゃないか……”とドキドキしながら見守っていました。ですが、その後も久米さんは、威圧感あふれる親父を横に淡々と、つつがなく番組を進行していって、終了まで無事もっていったんです。絶対CM中に何かあったはずなのに……“久米宏の腕前はとんでもない”と感じましたね」
久米さんの“ブッコミ質問”後、CM中に富三郎さんと久米さんの間に何があったかは分からないというが、騎一郎によると、富三郎さんは生放送終了後、「久米の野郎!」と怒っていたそうだ。
「今でも忘れない、衝撃的な放送でしたね。そもそも、親父をキャスティングしたこと自体が相当チャレンジング。そして、久米さんは出演してきた政治家に打ち合わせのない質問をぶつける人でしたが、それを明らかに気難しそうな親父にもやって、それで最後まで放送を乗りきったわけで……あらためて『ニュースステーション』は凄い番組で、久米さんも凄い人だと感じますよね」
久米さんは、誰と対峙しても物おじせずに質問をぶつけてきたことで知られる。たとえば1985年10月30日放送回では自民党の金丸信幹事長(享年81)が出演したが、中曽根康弘総理(享年101)について、「私、個人的にはあまり中曽根さんって方、好きじゃないんですが、幹事長はお好きですか?」とド直球の質問をして金丸氏をたじろかせたことも。
「『ニュースステーション』には普通のニュース番組ではあり得ないスケールの大きさというか、驚きがありましたよね。それを仕切っていたのは久米さんで……やはり、素晴らしいテレビマンでしたね」
「テレビ報道の革命児」とも評された久米さん。その手腕は政治家だけでなく、昭和の大スター相手にも炸裂していたようだ――。