■ガチ横綱が1人いれば不自然な取組は減る!
――今後、大関・横綱になりそうな力士というと?
貴乃花:誰というより、10代から部屋に入った、叩き上げの若い子じゃないと長続きはしない。 大の里も大学を出てからだから、もう年でしょ。昨年、九州場所の千秋楽もケガで休場したし。
板垣:だけど俺は、大の里は令和の大横綱に間違いなくなると思ってる。豊昇龍はもう間もなく勝てなくなっちゃうかもしれない。あと安青錦も、来年には横綱になる可能性がありますよね。
貴乃花:ガチンコの横綱が1人いれば、自然と不自然な取組は減っていくんです。逆もまた、しかりですが。
これは人間性の問題ではなく、環境ですからね。部屋全体で、そうしなきゃいけない雰囲気だったら、私だって、どうなっていたか分かりません。
板垣:いいね。ガチの横綱がいれば、自然とガチンコも増えると。
貴乃花:ただね、ガチンコは毎場所やっていると寿命が縮むんですよ。気持ちも体も削られるんです。できれば年間4場所に減らして、その分、真剣な相撲を取る、力士たちの給料も増やす、そういった救済措置が今後は必要だと思うんです。
板垣:昔は、もっと少なかったんですよね。
貴乃花:双葉山さんの時代は、年間2場所でしたから。そこからさらにさかのぼると、年間1場所。だから、今の6場所なんか多すぎるんですよ。ただでさえ、横綱は金星を狙う力士たちを相手にするので、それをすべてガチンコでやっていたら、すぐに体が壊れてしまう。
板垣:貴乃花さんも、体に痛みは残っていますか?
貴乃花:いっぱい残っています。だから、自分ではもう長生きができないっていうのが分かっているんです。そのつもりで20代の頃もやっていましたから。
だけど、不正なく相撲をやったほうが面白いと、自分の中で掴んでいました。
――次回は今年2月に迫る相撲協会理事選と退職劇の裏話をお届けします!
貴乃花光司(たかのはな・こうじ)
1972年8月12日、東京都生まれ。88年、藤島部屋に入門。92年の初場所で、史上最年少の19歳5か月で幕内初優勝。兄・若乃花と「若貴フィーバー」を巻き起こす。94年11月に第65代横綱に昇進。幕内優勝22回。生涯戦歴は794勝で、「平成の大横綱」と呼ばれた。2018年に日本相撲協会を退職し、現在はテレビ、講演会等、幅広く活躍中。
板垣恵介(いたがき・けいすけ)
1957年4月4日、北海道生まれ。20歳で陸上自衛隊に入隊。習志野第1空挺団に約5年間所属し、アマチュアボクシングで国体にも出場した。『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で91年より連載中の人気格闘漫画『刃牙』シリーズは累計発行部数1億部を突破。現在、シリーズ第6部となる『刃牙らへん』を連載中。