■予想以上に見る人を選ぶ『冬のさ春のね』

 見る人を選ぶ作品なのは予想できたが、X上では《今泉監督の独特の間合いに杉咲花ちゃんの魅力全盛の会話劇。これを連ドラでやるのなかなか攻めたね》《今泉力哉ワールド全開で映画の様な質感のこのドラマ最高に好き!長回しカメラでコロコロ表情を変える杉咲花ちゃんの演技に圧倒された!》などと、多くの絶賛の声が。

 その一方で、《私は一体何を見せられてるんだ…ずっと気持ち悪いなこのドラマ。中身が一切ない、ただただキモいセリフがずっと流れてる。こういうリアルでアンニュイな脚本書いてる俺カッコいい…みたいな脚本家苦手すぎる》など、否定的な声も少なくなく、思った以上に評価がまっぷたつとなった。

 地上波ドラマとは思えない、思い切った内容だった。劇場用の映画にしか見えない長回し映像、独特な間合いの会話劇、そして、今泉監督ならではの空気感。初回の内容で前半と後半をすっぱり分けて、文菜(杉咲)という女性を描ききったことには、作り手側の「気に入ったら見てください」という強烈なメッセージを感じる。

 これは今泉監督が、というより、日本テレビがずいぶん思い切ったなとしか思えない。今はドラマを視聴するにも、メディアが多様化していて、地上波ドラマは正直、旗色が悪い。では、Netflixのように資金を存分に投入したドラマを作れればいいのだろうが、地上波では予算的にも人員的にもそれは難しい。