■配信にはない、地上波アニメ「2つのメリット」

 まず、地上波にとってアニメ放送のメリットとは何か。元テレビ朝日プロデューサーの鎮目氏は言う。

「娯楽の選択肢が増えてライフスタイルも多様化する今、何を放送しても昔のようには視聴率が取れなくなっている。そうしたなかでアニメ枠は、視聴率がそれほどなくても良い。テレビ局としては放送枠を制作会社に“売る”ことで収益を得ているんです」(鎮目氏=以下同)

 制作会社が放送局から放送枠を購入してまでアニメを放送したい理由はどこにあるのか。

「理由は2つあります。一つは、“地上波放送”をうたうことでハクがつく。配信やOVA(放映がなく、ビデオ専売のアニメ)だけよりも、地上波への進出はお金がかかるので、予算をかけた作品なんだなというイメージを視聴者につけやすい。

 もう一つは、地上波で放送することにより、“盛り上がり”を作ることができる点です。配信だと個々の好きな時間に見ることになりますが、地上波放送だとその話題を同時に生み出せる。SNSのトレンドも狙うことができ、アニメをまだ見ていない人への大きな宣伝になり得ます」

 さらに、局にとっては二次利用のうまみがある。

「ヒットしそうなアニメの出資側、つまり製作委員会に入れば、グッズ販売や劇場版制作によるビジネス展開で儲けが見込めます」

 一方で、ここにはまさにアニメ制作側が「儲からない」元凶が潜んでいるとも言える。鎮目氏が続ける。

「これはアニメに限らず、映像業界全体がそうなのですが、制作費の相場が安く固定されてしまっていて、作品がいくらヒットしたところで単価が上がるわけではないのが現状です。つまり製作委員会としては、制作費を“最低限”で見積もったうえで、自分たちは少しでも多く稼ぐという考え方になっている。

 もちろん、制作会社を“買い叩きたい”わけではありません。出資側にしてみれば、ヒットすればいいけど、当然ヒットしなかった時のリスクも大きく、なんならヒットと言えないものは数多あります。その観点から見れば、制作側の“最低限”は担保しているんです。問題は、出資側が儲かった時に、それが制作側に還元されないことですよね。発行/販売部数に応じて著作権者に支払われる“印税”のような仕組みになっていないです」