■地上波テレビ局は生き残れるのか
制作会社が、Netflixのような世界的配信企業と直接契約するとなると、「制作単価は相当上がるのでは」と前出の元テレ朝プロデューサーの鎮目氏は見る。
「日本の小さな国内市場だけでなく、世界市場を視野に入れるとなると、予算が桁違いです。そうなると、最初から豪華なものを作ることができる。クオリティも当然上がります。国内で日本向けに作ったヒット作を世界にPRするよりも、最初から“世界ウケ”を狙えますよね」
今後、動画配信企業がアニメ分野でも地上波のライバルになっていくのだろうか。
「一旦はなりうると思います。配信系のほうがカネ払いもよく、制作が自由で、ヒットも出るとなると、企画を地上波に持ち込んでもらえなくなる。そうなると、局にとっては儲けられるチャンス自体が減ることになります」
アニメ制作において、制作会社が動画配信企業と直接タッグを組むことが当然となれば、地上波テレビ局が現状のビジネスモデルである、アニメの放送枠を制作会社に販売するというビジネスモデルを続けることは難しくなるだろう。
「カネ払いもよく、制作の自由度が高い場所でクリエイターが物作りをしたがるのは普通のこと。これはアニメに限らず、ドラマやバラエティにも同じことが言えます」
鎮目氏は「制作会社とNetflixの直接契約がどれぐらい、製作委員会方式を打ち破れるのかは未知数」としつつ、「圧倒的なヒット作品が続くようなら、出資側ばかりが儲かる現状のあり方が見直される機運は高まるかもしれません」と、業界の“常識”が覆されるタイミングでもあると見る。
現在、Netflixでは、オリジナルアニメ『超かぐや姫!』(26年1月22日配信開始)が絶好調。26年は、アニメ界においてもNetflixがその存在感をより強めていく年となりそうだ。
鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)