■社会変化を反映する店作り

 一方で、『MEGAドン・キホーテ』の成功は同社にとっても思わぬ結果を引き起こした。来店客の年齢構成が想定以上に上がってしまったのだ。しかし、同社もただ手をこまねいているわけではないという。

「22年5月に若年層との接点をつなぎ直す切り札として、Z世代をターゲットにコスメや食品を中心に販売する新業態の『キラキラドンキ』をスタートしました。しかし、現状で『キラキラドンキ』は全国に10店舗もありません。そのため、売り上げを牽引する存在とは言えないでしょう。むしろ将来への“種まき”のような位置づけでは。若年層は短期的には利益になりにくいですが、若い頃からドンキを使ってもらうことで、生涯に渡ってドンキユーザーになってもらいたいのでしょう」(前出の全国紙経済部記者)

 前出の谷頭氏は『ドン・キホーテ』の強みは、若者向け業態の有無だけではないと話す。

「売り場づくりは、店長やスタッフに大きく任せています。どんなお客さんが来るのかを一番分かっている現場に、仕入れの権限を持たせる。この仕組みこそが、ドン・キホーテ最大の武器です」

 インバウンド客の来店が多い新宿や六本木の店舗では土産物や抹茶関連商品を売り場の前面に配置している。つまりは来店者に合わせて売り場作りを変えているのだ。

「日本の人口構造を考えれば、高齢者向けの店が増えるのは当然です。『ドン・キホーテ』も社会の変化を売り場に反映していると思います」(前同)

 時代にあわせて、変化することで競争の激しい小売業界を生き抜いているというわけだ。

谷頭和希(たにがしら・かずき)
都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。チェーンストアやテーマパーク、都市再開発などの「現在の都市」をテーマとした記事・取材等を精力的に行う。「いま」からのアプローチだけでなく、「むかし」も踏まえた都市の考察・批評に定評がある。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』他。現在、東洋経済オンラインや現代ビジネスなど、さまざまなメディア・雑誌にて記事・取材を手掛ける。