■その1ポイントは世界で最も高い買い物に

 こうした「ポイ活中毒」の背景にあるのは、物価高騰や将来への不安が生んだ「小銭でも稼がなければ」という強迫観念だと思います。

 しかし、ここで冷静に考えなければならないのが「継続」と「損切り」の境界線です。時間は有限であり、何かに20時間を費やすということは、他の20時間の可能性を捨てることに他なりません。

「最近のポイント経済圏は非常に巧妙で、ユーザーに“次もやらなければ損をする”と思わせる心理的なトラップが、至る所に仕掛けられています。数ポイントのために数十分のアンケートに回答する行為は、精神的な疲労を伴う立派な労働。

 しかし、これが毎日のルーティンになっているせいで、自分が搾取されているという自覚を持ちにくいのが恐ろしい点です。賢い利用者は、獲得できるポイントの価値よりも自分の自由時間の価値が上回った瞬間に迷わずスマホを置ける。

 時給換算で100円を切るようなポイ活は、もはや節約ではなく、生活の質を下げる負の習慣になりかねません。自分の時間単価を意識し、ポイントはあくまで“ついで”に発生するものだと割り切る勇気こそが、現代のデジタル社会を生き抜くための最低限の知恵ではないでしょうか」(生活情報サイト編集者)

 ポイントを貯めることで得られる達成感は、脳内でドーパミンを放出させ、一時的な快楽をもたらします。しかし、その快楽の代償として失っているものが、自己研鑽の時間や家族との会話、あるいは心身の休息であるならば、その「1ポイント」は世界で最も高い買い物になっているかもしれません。

 ポイントサイト側の戦略は、ゲーム性やソーシャル性を強めることでユーザーの滞在時間をさらに引き延ばそうとするなど年々高度化しています。

 もはやポイ活は、私たちの生活を豊かにするための補助手段ではなく、IT企業にデータと時間を提供する「無報酬に近い労働」になっていると言っても過言ではないでしょう。

 常にスマホを気にしながら過ごす日常は、はたしてユーザーが望んだ「豊かな生活」と言えるでしょうか。賢い「損切り」とは、目の前のポイントを見逃すことではなく、自分の人生という資産を守るための決断。ポイ活疲れを感じている人は、改めて「時間の価値」という原点に立ち返ってみてはどうでしょうか。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。