日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回は、中高年たちにとって悩ましい「ハラスメント」の現状に注目した。

 職場におけるコミュニケーションの変容とともに、今「エモハラ」という言葉が2つの意味で世間を騒がせています。

 真っ先に挙げられるのが「エモーショナルハラスメント」。これは「感情的な言動で相手に精神的苦痛を与える嫌がらせ」を指します。感情を剥き出しにしたり、逆に無視や孤立を強いたりすることで相手を追い詰めるパワハラの一種とされているものです。

 そしてもう一つ、2026年現在のオフィスでより身近な火種となっているのが、絵文字を用いた「絵文字ハラスメント」。良かれと思って添えた顔文字や記号が、受け手にとっては威圧感や不快感を与えるストレス源となるこの現象は、チャットの文末に「。」を打つだけで「怒っているの?」「威圧的で怖い」と若者が怯えてしまう「マルハラ(句点ハラスメント)」の正統進化系と呼べるかもしれません。どちらも相手の「感情」をターゲットにする点では共通しており、無意識に部下を疲弊させてしまうリスクを孕んでいるのです。

 特にデジタルネイティブ世代の若者にとって、上司が送る特定の絵文字は、「おじさん構文」特有の加齢臭や、隠れた攻撃として解釈される傾向にあります。例えば、笑顔に汗が滲む顔文字。送り手は「謙遜」や「苦笑」のつもりでも、若者には「バカにされている」「煽られている」と映るケースが少なくありません。これぞまさに、世代間のボタンの掛け違いが生んだ悲劇。

 また、お願い事の際によく使われる、潤んだ瞳の顔文字やお願いマークキラキラ絵文字も要注意でしょう。上司が使うと、「なんでも泣き落としで済むと思っているのか」「おじさんの媚びている感じが生理的に無理」「無言の圧力を感じる」などと、激しい拒絶反応を招くこともあるようです。

 さらに、焦りを表現する水滴3つの汗マークも、多用すると「ガラケー時代の遺物」「必死さが伝わってきて暑苦しい」と、裏で失笑の対象になるなど、世代間の感性のズレはもはや“大きな溝”となるケースも少なくないようです。