日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回、戸田氏が注目したのは、ネット上での誹謗中傷が変化しているということ。はたしてこの刑罰、重いのか、軽いのか――。
インターネット上の匿名性に守られた誹謗中傷が深刻な社会問題となる中、2022年7月に施行された「侮辱罪」の厳罰化から3年が経過しました。法務省が公表したデータによれば、2025年6月末までの約3年間に侮辱罪のみで処理された人数はのべ667人に上り、ネット上の事案で起訴されたケースのうち約82%に罰金刑が科されるなど、厳しい運用実態が明らかになっています。
かつては軽い過料程度で済んでいた悪口が、今や「1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金」の対象となり、有罪が確定すれば前科がつくという重い現実を突きつけています。特にネット上の事案では10万円以上20万円未満の罰金が7割以上を占めており、感情に任せた書き込みが負うべき経済的・社会的な責任は、もはや無視できないレベルに達しているのではないでしょうか。
SNS上ではこうした現状に対し、様々な反応が寄せられています。「これまでは“バカ”や“アホ”といった言葉を投げかけられても泣き寝入りするしかなかったけれど、具体的な罰金事例が出たことで、ようやくネットの攻撃性に歯止めがかかるのではないか」と法改正の意義を支持する声が目立ちます。その一方で、「具体的にどのような文脈でアウトになるのか、基準がまだ不透明で怖い。正当な批判のつもりが侮辱と捉えられて前科者になるリスクがあるなら、何も意見が言えなくなる」と、表現の委縮を懸念する意見も少なくありません。
また、「自分を棚に上げて他人を攻撃していた人たちが、いざ開示請求の対象になると分かって急に焦り出している。自業自得とはいえ、スマホの操作一つで人生が暗転する怖さを感じる」と、ネット特有の拡散性と処罰の重さに戦慄するユーザーも増えているようです。