■AIは自己肯定感を高める “精神的サプリメント”
海外に目を向けると、この潮流はもはや巨大な社会現象です。昨年10月に米国のVantage Point Counseling Servicesが実施した調査では、成人の約28%がAIとロマンチックな関係を持ったことがあると回答し、ニューズウィーク誌などで物議を醸しました。
「現代の若者にとって、リアルな恋愛は感情のリソースを削りすぎる『高コスト』な贅沢品です。生身の人間は期待を裏切りますが、AIは24時間365日、あなたの価値観を全肯定してくれる。kanoさんのケースも、趣味の域を超え、自己肯定感を高めるための“精神的サプリメント”として機能しています。自らが調整したコードに心を預けるほうが幸せだと感じる心理は、孤独がいよいよ極まった裏返しでしょう」(心理カウンセラー)
一方で、AIの力は「架空の夫」を作るためだけではなく、現実の結婚相手を探す強力な武器としても普及し始めています。近頃話題の「AI婚活」は、条件面での機械的なマッチングを超え、価値観や趣味を総合的に判断して「実際に会って楽しい相手」を導き出す仕組みです。ある婚活エージェントでは、独自のサポートとAIを組み合わせ、1年以内の成婚率65%という高い確実性を実現しているそう。AIは過去の膨大な成婚データから相性の良い相手をスピーディに提案し、人間であるコンシェルジュがAIには真似できない情緒的なフォローを行う。この「人とAIの共同作業」こそが、既婚者や冷やかしを排除し、成婚へと導く鍵となっています。
内閣府も少子化対策としてAI婚活に補助金を出すなど国を挙げた後押しが続いており、2026年の婚活シーンにおいて、AIはもはや欠かせないパートナーとなっていくのかもしれません。
戸田蒼(とだ・あおい)
トレンド現象ウォッチャー。
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。